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私たちがその内部空間で活動するための構造物のことを言います。生活・暮らしの中心、家。普段なかなか知ることのなかった住まいの構造や住まいに関わる情報をわかりやすく説明します。
木造工法の住宅
日本の住宅の工法は様々ありますが、ここでは木を使った工法について説明して行きましょう。
まず、日本の住宅がなぜ木造が多いのかに触れてみたいと思います。
◆日本の国土、森林の割合
日本の森林は約2500万haあり、日本の国土のおよそ3分の2が森林となっています。
古くから森林は私たちの身近にあり、その森林を建築に使ってきました。
歴史がある建築材なので、現在でもほとんどの住宅に木を使うことが多いです。
その中でも代表的な木造の住宅工法を見ていきましょう
◎在来工法
木造軸組工法とも言われています。
昔からの建て方で大工や棟梁が組み上げます。
木造ならではの木の温もりを感じることができ、日本においてはもっとも主流の工法です。
しかし、近年では接合部に金物を使ったり、補強材として金物を使っています。
現在では仕上がりを統一させるために工場で決められた寸法でカットされています。
部材があらかじめ整えられた状態で現場に運ばれてきますので、大工や棟梁の腕による仕上がりの誤差も少なくなってきています。
在来工法は平成12年の建築基準法の見直しで耐震性能や耐震基準が引き上げられ、地震に強い工法になりました。
では在来工法の特徴にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
■構造的特徴
土台・通し柱と管柱・梁 と筋交い・火打ちなどで構成され、耐震面は筋交いなどが受け持ちます。筋交いの量と配置のバランスが耐震上の決め手となります。
■施工的特徴
構造については大工と工務店の熟練度によって多少違ってきます。また、接合部の施工によってはきしみや傾きなどの不具合が出てくる可能性があります。
■外観
外壁に使える建築材料はどんなものでも使用することができ、自由な外観を創ることができます。屋根の形状も預保で複雑でない限り、自由度が高いです。
■部屋のレイアウト
通し柱や梁、筋交いの設計を住宅の建築段階から考慮すると、将来のリフォームの時でも容易にレイアウトの変更ができます。
在来工法は比較的自由度の高い工法というのが分かりましたでしょうか?
では、もう一つ代表的な木造工法についてご説明します。
◎ツーバイフォー工法
木造枠組壁工法は北米で最も主流の工法です。
北米の9割がこの工法で建てられています。日本では札幌の時計台がツーバイフォー工法で建てられています。
大きな特徴は、住宅の建築に合理的で耐震性に優れていることです。
住宅の気密性が高く、熱を逃がしにくい特徴から寒い地域での住宅建築に使われています。
気密性が高いため、万が一火災が発生しても延焼しにくいのも特徴です。
耐震性の高さは、構造自体が壁で家を構成しているからです。なぜ耐震性が高いのでしょうか?
マッチ箱 をイメージしていただけるとわかりやすいかもしれませんが、箱状の物を横から押してもなかなか崩れませんよね?
これは住宅にかかる外からの力を面で支えて力を逃がしているのです。このような構造はモノコック構造と呼ばれています。
在来工法と比べると、およそ1.5〜2倍くらいの耐震性を持つと言われています。
建て方はあらかじめ部材を工場で組んでパネル状にして現場で一気に組み上げます。
その分、建築工期も短くなるのが特徴です。
ツーバイフォー工法の特徴はどのようなものがあるのでしょうか。
■構造的特徴
2インチ×4インチの部材でフレームを組み、構造用合板で壁を作り、モノコック構造を形成することで耐震性を確保します。
優れた耐震性を持っていますが、 建物全体で地震に対応しているため制震装置を採用しても、その効力は最大に発揮できません。
■施工的特徴
釘の長さ・打つピッチまで細かく規定されていますので、職人の技量により仕上がりが左右されることが少ない工法です。
■外観
在来工法と同じく外壁材料による制約は、ほとんどありません。
外観デザインの制約もほとんどなく、和風の住宅も可能です。
■部屋のレイアウト
在来工法より構造上の制約が多少あります。
構造体が壁なので、後の増改築などは、在来工法よりも自由度が少ない。
このページでは木造の工法について説明してきました。
現在は地震の影響で、耐震性能に注目することが多くなりました。
日本の住宅は地震との対応が一番の課題ですが、このように木造住宅も耐震性能を向上させ私たちの住まいに安心を与えてくれているのです。