住まいに関わる情報発信サイト
私たちがその内部空間で活動するための構造物のことを言います。生活・暮らしの中心、家。普段なかなか知ることのなかった住まいの構造や住まいに関わる情報をわかりやすく説明します。
地震に対する構造
「地震の被害を最小限にするには?」
過去私たちが大きな地震を経験してからというもの、被害を最小限に抑えるには
どうしたらよいか研究が重ねられてきました。
その研究の歴史は古く、後漢時代には既に地震に対する研究がされていたとも言われています。
近代の地震への研究は1906年のサンフランシスコ地震を契機に進められ、現代に至ります。
地震への対策としては「耐震構造・免震構造」がよく話題に上ります。
ここでは地震への構造の対応としての耐震構造、免震構造、制震構造について学んでいきましょう。
・耐震構造
地震の際に生じる揺れのエネルギー。この力が直接建物に伝わると何もしていない状態では
大きな力を受けてしまいますので、建物の倒壊・破損に繋がってしまします。
そこで、建物が地震の力に耐えられるよう柱や梁に強度を持たせるのが「耐震構造」です。
柱や梁などの構造体を太くしたり、筋違や耐力壁をしっかりとさせ建物全体で地震の力に耐えるようにし、倒壊を防ぐ構造となります。
また、構造体のつなぎ目に金属を用いより部材と部材を緊結させて強度を増している工夫もされています。
・免震構造
建物と地盤を絶縁し、免震層を作ることによって地震の力を直接建物に伝えない構造です。
免震装置にはアイソレータとダンパーの部材からなり、アイソレータにはゴムと鋼板を交互に重ねた積層ゴムが使われています。
また、アイソレータで地震の揺れを軽減し、建物の揺れを吸収するダンパーを建物下部に設置し、地震の揺れ、建物の揺れを軽減します。
大地震時には揺れの強さを1/3〜1/5に抑える研究結果もあり、建物への被害、室内への被害も抑えられるメリットがあります。
しかし、免震構造のシステムを組む込むのに多額のコストがかかってしまうことから
賃貸住宅では用いられることが少ない構造です。
・制震構造
建物の内部に揺れを制御する制振装置を組み込み、エネルギーを吸収して建物が揺らされるのを抑制する構造です。
制震装置には弾力や粘りのある材料を使い作成されたダンパーと呼ばれる部材を使用し、力を抑制しています。
建物では主に高層ビルや高層マンション、橋に使われていることが多い構造です。
【豆知識!屋根と地震の関係】
基本的に屋根の重さが重ければ重いほど、建物の揺れ幅が大きくなってしまいます。これは、建物の重心が高くなってしまうため、不安定さが増してしまうのです。一般的なお住まい(30坪程度)で陶器瓦の屋根の重さはおよそ6トンほどと言われており、これは軽自動車7〜8台分に相当する重さになります。また、現在では使われなくなった瓦屋根の土葺き工法では、瓦を留めない工法であるため、最初は粘土のようにべたべたしていた土も経年により乾き、地震の震動で瓦が屋根から滑り落ちてしまうのです。2016年に起きた熊本地震でも熊本城の瓦屋根が落ちている映像はテレビで見るととてもショッキングな映像でしたが、土葺き工法で施工された瓦屋根の構造上、仕方のないことだと言えます。
東日本大震災や熊本地震などの影響を受けて、瓦屋根から軽くて耐久性、耐候性に優れたガルバリウム鋼板に屋根を葺き替えるお住まいをも増えてきています。屋根と言えば瓦かトタンといった一昔前と比べ現在では瓦屋根でもハイブリッド瓦と呼ばれる軽く丈夫な屋根材も登場しています。また、今では屋根材の出荷動向をたどると圧倒的なシェアを誇るのがガルバリウム鋼板などの金属屋根になります。時代の変化によって建物の安全性がより重要視される現代では、これが自然の流れなのでしょう。